母や祖母の思い出の着物…大切な着物を売ったときのエピソードをまとめました。

誰かが着てくれることを願って、祖母の大島紬を処分

以前、ネットで見つけたリサイクル着物店の宅配買取サービスを利用して、着物を売ったことがあります。

当時は比較的時間に余裕のある毎日を過ごしていたので、よく自分で時間をかけて着物を着て、散歩に行ったりしていました。そんな私に母が「うちの着物、もう捨てようかと思っていたけど、着てくれるのなら着てちょうだい」と言って、実家のタンスに長年しまいこまれていた着物や帯を何点か譲ってくれました。その中に、昔祖母が着ていた「大島紬」だという着物と羽織のセットが入っていたのです。

濃紺の地に、ブルーの笹の葉のような形のかなり大きな柄が全体に散らされた着物で、証紙などはたしかついていませんでしたが、とにかく母によれば「大島紬」だ、ということでした。もらった時は「せっかくの大島紬なのだからぜひ着たい!」と意気込んだものの、少しかびのような匂いが染み付いてしまっていて外へ着て行ける状態ではなかったのです。自宅で干しても、着物クリーニングのお店に出してみても、一向に匂いはなくならなかったので、泣く泣く着るのを諦めて売りに出すことにしたのでした。

宅急便でお店に送って査定してもらうのがいちばん手軽だと思い、そうすることにしました。大島紬の他にも、母が若い頃に1度か2度着たという派手なサーモンピンクの色無地やウールの普段着きもの、柄がかわいらしすぎて年齢的にもう合わないな…と思った名古屋帯など、全部で8点くらいをダンボールに入れて、ネットで見つけた「たんす屋」という大手のリサイクル着物のお店に送りました。着払いでよかったので、送料を気にする必要がなかったのが嬉しかったです。送った次の日くらいに受付確認メールが来て、荷物が届いたこと、査定にしばらく日数がかかるのでしばらく待ってほしい旨などが書かれていました。

4?5日経った頃にお店から電話がきました。実直そうな男性の声で「3000円になります」とのこと。あまり金額には期待していなかったので、3000円という額はその時の私にとってはかなり高額に思えて、喜んで承諾しました。おそらく3000円はほぼ全額、大島のセットに対しての金額で、他は0円か、せいぜい「全部まとめて100円」といったところだったのだと思います。

今にしてみれば、匂いがついていたとはいえ「大島紬の着物と羽織のセットに3000円」というのは、安いかなあ…という感じがします。祖母が買った時にいくらだったのか分かりませんが、大島にも機械で織られた比較的安いものなどもあるようですし、そういう類のものだったのかもしれません。けれど、それでもいいのです。自分が着なくなった着物を買取に出して、着たい人に着てもらうことで、「着物」という素晴らしい日本の文化をちょっとだけ未来に繋ぐことができたのかもしれない。そう思うと、なんだかいいことをしたような気分になるのです。

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